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20年以上映画の仕事を続ける企画・映画評論家のこだわる「男の映画」とは。そして彼が「男」にこだわる理由…そして映画と酒に濡れた彼の人生とは。この男のRSS
2010.03.23 by マンハッタン坂本 / 男の外国映画について, 男の日本映画について

戦場で生き延びるのに、敵を倒す必要はない。


戦場で生き延びるのに、敵を倒す必要はない。


脱走する場合だって同じである。
敵を倒す必要があったのは、例えば、史実ではあるけれど、「大脱走」のスティーブ・マックイーンのように次々と突破していけば、見ている側はスカッとする。だがそれは所詮アクション映画だ。

こんにちは、マンハッタン坂本です。



軍人だろうと民間人だろうと、周りが敵だらけの場所で、
武器を持たずに脱走することは至難の業である。

「戦場のピアニスト」は、タイトル通り、第二次世界大戦中に実際に生き延びたピアニストの話である。場所は、ドイツ軍に占領されたポーランド。

戦場のピアニスト 戦場のピアニスト

ロマン・ポランスキー 監督・脚本
米アカデミー賞監督賞、脚本賞受賞・主演男優賞(エイドリアン・ブロディ)受賞
カンヌ国際映画祭パルムドール受賞


シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は、ワルシャワのラジオ局で生演奏をする才能あるピアニストだったが、住み慣れた家を捨て家族5人と共にユダヤ人ゲットーに住まわせられる。過酷な生活のあと、収容所行きの列車に乗せられそうになるが、寸でのところで彼ひとり逃がされる。

ポーランド人歌手夫婦のお陰でゲットーを脱出して隠れ家を提供され、ついで彼の親友の妹の手引きで敵の本拠地を目前にした一室に隠れる。ユダヤ人レジスタンスの抵抗、ポーランド人による蜂起のあと、廃墟と化した家の中で、ついにドイツ人将校に見つかる。シュピルマンはピアニストであることを証明するため、必死でショパンのバラード第1番を演奏する。それは将校を強く感動させ、命を助けられた上、食料まで調達してもらう。

やがてソ連軍によりワルシャワは解放され、彼は晴れて大衆の前で演奏会を開く。



「キリング・フィールド」は、ベトナム戦争末期に実際に生き延びたジャーナリストの話である。場所は、内戦中のカンボジア。

キリング・フィールド

ローランド・ジョフェ 監督
米アカデミー賞編集賞、撮影賞、助演男優賞(ハイン・S・ニョール)受賞


ディス・プラン(ハイン・S・ニョール)は、ニューヨーク・タイムズの記者シドニー(サム・ウォーターストン)を情報収集や通訳でサポートしていたが、反政府の赤いクメールの支配によってプノンペンのフランス大使館に逃げ込む。だが外国人の国外退去を命じられ、赤いクメール軍に捕まったときに必死で助命をしてくれたプランを助けるため、シドニーたちは偽のパスポートをつくるが、古い印画紙のため写真が消えてしまう。

赤いクメールのもと集団農場から逃亡に失敗したプランは、かつてベンツ車のエンブレムをプレゼントした少年から助けられる。一面人骨だらけとなった大量殺戮の刑場を目の当たりにしたあと、別の集団農場で働いた彼は、現体制に批判的な幹部から地図を渡され幼い息子を託される。数人の仲間と共に脱出するが、途中地雷で子供を失い、ひとりタイの難民キャンプにたどり着く。

プランにいち早く会いに来たのは、ピューリッツァー賞を受賞したシドニーだった。
カーラジオからは、ジョン・レノンの「イマジン」が流れていた。




「大いなる幻影」のマレシャル中尉(ジャン・ギャバン)は、第一次世界大戦中にドイツ軍の捕虜となり、貴族出身のボワルデュ大尉(ピエール・フレネー)と共に何度も脱獄に失敗し将校収容所を転々としていた。

大いなる幻影 大いなる幻影

ジャン・ルノワール 監督・脚本
ヴェネツィア国際映画祭芸術映画賞受賞


ついに貴族出身で傷だらけの所長(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)のもと、高さ36メートルの城壁のある収容所に入れられる。所長とはお互いに敬意を表していたボワルデュ大尉だが、マレシャル中尉とローゼンタールの二人を逃がすため、ある計画を立てる。捕虜たちが笛などを鳴らして騒ぎを起こし全員を集めて点呼させる隙に、大尉が笛を吹きながら逃亡するふりをするのだ。所長はやむを得ず発砲するが、運悪く致命傷となる。

「人は戦争で死ぬことを嫌うが、私たち職業軍人にとっては、最高の死に方だ」

「私は死にそこなった」


まんまと脱走に成功した二人は、言い争いをしながらも助け合い、ある田舎家に逃げ込む。そこには夫や兄弟を戦争で失い幼い娘と二人だけで暮らすドイツ人のエルザがいた。彼女にかくまわれた二人は、クリスマスのお祝いに、娘のロッテのためジャガイモでつくったキリスト一家をプレゼントする。

エルザを愛してしまったマレシャル中尉は、再会を誓いつつ、ローゼンタールと共に国境を越えスイスへと逃げ延びる。

敵を誰一人殺さず、むしろ敵側の人間から助けられて生き延びた者たちは、彼らの善意をどう受け止めたのだろうか。いや、善意ではないかもしれない。偶然の気まぐれかもしれない。だがその行為は、戦時中であっても、敵味方関係なく、人間としての尊厳を失ってないからだ。


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©Photo By National Library of Scotland



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マンハッタン坂本
初老の映画コメンテーター、54歳、独身。映画と酒を愛しすぎ、気がつけばこんな年齢。子供がいればもう成人しているだろうか、部下も息子といっても差し支えない年代に。されど人生に悔いなし!それは多くの感動と出会いに満ちあふれていたから。そんなヒトリライフを堪能する男のこだわり映画とは。
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