真面目なサラリーマンが何かに巻き込まれると、どんでもないことになる!
アクション映画の最高傑作である「ダイ・ハード」のN.Y市警ジョン・マクレーンは、ロサンゼルスの高層ビルに妻を訪ねて来るが、テロリストの占拠に巻き込まれ、孤軍奮闘する。そのとき、日本人のサラリーマン社長は、あっ気なくテロリストに銃殺される。
こんにちは、マンハッタン坂本です。
ところが、日本映画では、殺されることはないにしろ、のっぴきならない状況に陥ることがある。その状況をある程度覚悟していた者もいれば、泥酔していたからだと諦める者もいれば、因果応報だと途方に暮れる者もいる。
「僕らはみんな生きている」の建設会社の営業マン・高橋(真田広之)は、一週間の予定でバングラデシュ内の小国タルキスタンに出張する。橋建設のプレゼンで支店長の中井戸(山崎努)をサポートするためだ。だが軍の実力者カーツ大佐のパーティで、ライバル会社に契約を奪われたことを知り落胆した途端、ゲリラが攻撃してくる。
僕らはみんな生きている
滝田洋二郎 監督
1993年 主題歌「手のひらを太陽に」
「私たちは日本のサラリーマンです」と現地語で叫びながら、ライバル会社の富田(岸部一徳)と升本(嶋田久作)と共に市街戦を抜け出した四人は、お抱え運転手だったゲリラの一人に教えられた通り、高値で買ったジープに乗り海に出、空港に向かってジャングルへ入る。
仕掛け爆弾があるため30分おきにジャンケンで先頭を決めて進み、途中言い争いをしつつ、記念写真を撮りつつ、ある村にたどり着く。その途端、政府軍のヘリが攻撃してくる。だが罪のない子供が血まみれになる様にたまりかねた中井戸は無線で中止させる。
村人の機転で逃げ延びた三人だが、政府軍のスパイとして捕まった中井戸を助けるため、ゲリラの本拠地に舞い戻り、アナログ無線傍受機にデジタルでも傍受させられる装置を、日本のビジネスマン根性丸出しで売り込む。開放された中井戸が運転する帰りのオート三輪車の中で、四人は誇らし気に現地語で叫ぶ―「私たちは日本のサラリーマンです」
▼僕らはみんな生きている 予告編
「風花」の東京で一人暮らしをするキャリア官僚の廉司(浅野忠信)は、泥酔して勘定を払わなかったばっかりにコンビニの店員に捕まり、週刊誌ネタとなり停職になる。やけになってまたまた飲み過ぎ、ゆり子(小泉今日子)と彼女の故郷である北海道へ行く約束をする。
風花
相米慎二 監督
2001年
そんな約束もゆり子が誰なのかも思い出せないまま、彼女と一緒に北海道へ飛び、悪態をつきながら運転するうちに、彼女がピンサロ嬢で、雪が見たいと言ったことを思い出す。
ゆり子は母親に預けてある娘に会いに行くが、5年も任せきりの上、ここで育てる気がないのなら駄目だと追い返される。実家にも帰れず、ホステスが傷害で被害届を出し、電話でクビを言い渡された廉司は、再び彼女と共にあてどもなく車を走らせ、雪が残る山の旅館にたどり着く。一人温泉に入ったとき、ゆり子の脚に死にますと書いたことを思い出し、酔った勢いで彼女を道連れにしようとするが振り切られる。
だがゆり子自身は本気だった。気づいた廉司は、山の中を探し回りやっとのことで薬を飲んで横たわる彼女を見つけ、必死で介抱する。目覚めた彼女は、廉司を強く抱きしめる。
再起を決意し娘と再会するゆり子。廉司はその様子をバックミラーで見続ける。
▼風花 予告編
「黒い画集―あるサラリーマンの証言」の石野(小林桂樹)は、入社20年目の平凡な課長。会社帰りに一杯飲んだあと、パチンコで稼いだ景品を手土産に浮気相手の同じ課の事務員・千恵子(原知佐子)のアパートに行くが、帰りに偶然すれ違った顔見知りの杉山に帽子で挨拶され、うっかり頭を下げてしまう。
黒い画集―あるサラリーマンの証言
堀川弘道 監督
1960年 原作:松本清張 脚本:橋本忍
三日後、その杉山が向島若妻殺人事件の容疑者として逮捕され、殺害推定時間は保険の外交に行く途中で、近所に住む石野に出会ったと証言する。慌てた石野は、警察からの執拗な事情聴取でも、弁護士を伴った杉山の女房に泣きつかれても、会ってないと嘘をつき通す。浮気がバレることを恐れたからだ。
「二本立てで、最初が『西部の嵐』、二本目が『パンと恋と夢』でした」
念のため千恵子に引っ越しをさせた石野は、裁判でもその時映画を見ていたと偽証する。
引っ越し先のアパートに住む学生と仲良くなった彼女だが、借金返済の金を都合しないと二人の関係をバラすぞと学生から脅される。千恵子を見染めた若者も現れ、別れる潮時だと覚悟した石野は、暇つぶしに映画を観たあと金を持ってアパートへ行くが、そこには血まみれになった学生の死体が転がっていた。約束の時間が過ぎてしまい、取り立て屋と学生の間で言い争いになったからだ。
「僕は今日、本当に見てたんだ。題名は『夜ごとの美女』と『お嬢様お手やわらかに!』の二本立て」
そう叫んでも信じてくれない警察に対し、石野は何もかも白状をする。
真犯人も捕まり、杉山も無罪になり、石野は釈放されるが、すべてを失ってしまう。
松本清張生誕100年を記念して、自身が代表作と言う「ゼロの焦点」が再映画化された。
僕にとって映画化作品のベスト3は、「砂の器」と「天城越え」と、この「黒い画集―あるサラリーマンの証言」である。
緒形拳、田中裕子、小林桂樹、それぞれが演じたキャラクターは、親切な人間にもかかわらず、些細なことが切っ掛けでとんでもないことに巻き込まれる。
因縁、冤罪、偽証。中でも小林桂樹が演じたサラリーマンほど身近に感じるものはない。
©Photo By scion_cho
マンハッタン坂本も愛する、高千穂 降臨の雫
尊厳を失わない美味しい酒がある。
数々の神話とスピリチュアルな雰囲気で有名な神話の郷、高千穂。その高千穂で100年の歴史を持つ酒造メーカー「高千穂酒造」が解き放つ、最上級の本格麦焼酎「高千穂 降臨の雫」。
3年の眠りから、いま旅立つ。




















