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20年以上映画の仕事を続ける企画・映画評論家のこだわる「男の映画」とは。そして彼が「男」にこだわる理由…そして映画と酒に濡れた彼の人生とは。この男のRSS

冬のオリンピックにこそ、あたたかいドラマがある。

冬のオリンピック

不純な動機で、まんまとオリンピックの代表になった連中がいる。


音楽の世界では、例えば、日本が誇る偉大なアーティストである桑田佳祐は、大学生のとき、いろんな奇抜な名前のバンドを結成した。その動機は、何はともあれ女の子にもてたいからだ。よくある話だ。しかもサザンオールスターズとしてのデビュー曲「勝手にシンドバッド」なんか、タイトルからして受け狙いだ

こんばんは、マンハッタン坂本です。



スポーツの世界でも、たとえその競技が一般的には人気がなくても、オリンピックの代表ともなれば注目の的になる。ただ、不純な動機で始めたにしろ、あとから自分の能力に目覚めたにしろ、オリンピックの代表になるのは至難の業である。そのためには、少なくとも優秀なコーチが必要だ。

シムソンズ シムソンズ

佐藤祐市 監督
原作:加賀真人


北海道常呂(ところ)町は、ホタテとタマネギの名産地。女子高生・和子(加藤ローサ)にとってそんな地味な町に未来への希望はなく、町で唯一盛んなマイナー・スポーツ、カーリングの英雄・真人さまの姿を見ることだけが生き甲斐である。

ひょんなきっかけで真人にカーリング経験者と答え、チームを作らないかと誘われてその気になった和子は、がり勉の史江とカーリングに詳しいだけの菜摘を強引に練習場に連れて行く。すると4人目はもと天才プレイヤーで同級生の美希(藤井美菜)だった。おまけに、コーチは美希のために真人から頼まれたホタテ漁が本業の大宮(大泉洋)である。


とりあえずSIMSONSというチーム名で大宮の指導の下、最初の試合に臨むが無得点のコールド負けを喫する。悔しくてたまらない和子は、ホタテ・エキス入りのオニオンスープを売って稼いだ金で大宮を雇い、ハードな練習に耐え、練習試合に臨む。


「嘘だけはつくな。嘘はチームをダメにするんだ!」



初得点に喜ぶメンバーの前で、大宮は美希が反則して得点したことを指摘する。
北海道選手権大会の決勝で反則を申告した大宮にとって許せないことだった。

それがきっかけでチームは一旦解散するが、本当の1点を取るために再び結集したSIMSONSは北海道選手権大会に出場し、あろうことか決勝まで勝ち進む。コーチがお互いを信じ合うこと、そして試合を楽しむことを教えてくれたからだ。
勝敗が決まる最後の一投。一か八かのチャレンジは失敗に終わるが、観客からは惜しみない拍手が起こる。


数年後、SIMSONSはソルトレイクシティー冬季オリンピックの日本代表となる。


▼シムソンズ 予告編




常夏の国ジャマイカ。オリンピックの代表を決める100メートル走の選考会で、デリースは隣りを走っていた選手の転倒に巻き込まれ、夢を絶たれる。諦めきれない彼は、手押し車レーサーのサンカと共に、ジャマイカ在住のボブスレーの金メダリストでアメリカ人のアービン(ジョン・キャンディ)を拝み倒し、コーチを引き受けさせる。

クール ランニング

ジョン・タートルトーブ 監督
1993年


4人乗りボブスレーのクラッシュ・フィルムを見て残ったのは、結局能天気なサンカだけ。残りの二人は、選考会で転倒した張本人で、父親の抑圧から逃げたがっているジュニアと巻き添えを食ったもう一人のユル・ブリナー。だがスプリンター揃いの4人に勝算ありと睨んだアービンは、本気で彼らの特訓を始める。

マイナス25度のカナダのカルガリーに到着した4人は、アービンが調達してきた練習用の中古そりで生まれて初めて氷の上を走る。他の国の選手からバカにされながらも何とか予選通過タイムをクリアし、晴れてオリンピックの代表となる。


「顔も、身振りも、話し方も、ジャマイカ人なら、ボブスレーもジャマイカ流で」



第1走で実力を出せず最下位に終わったことに憤慨したアービンに、お前たちで何とかしろと激を飛ばされ、サンカはみんなに向かってそう言う。

「クール・ランニング!」

と叫び第2走で8位まで躍進し、勢いに乗って最後のトライをするが、中古故のトラブルが発生しゴール寸前でクラッシュする。だが4人は重いそりを抱えたまま誇りを持ってゴールし、選手やスタッフや観客から拍手喝采を受ける。

デリースは、金メダルより貴いものがある、それはゴールすれば分かる、と言ったアービンの言葉をかみ締めていた。

コーチ役のジョン・キャンディは、この映画の日本公開直後に心臓発作で亡くなった。どんなハードなシーンでも、彼が出てくると不思議とおかしく心がなごんだ。


▼クールランニング 予告編



桑田佳祐にしたって、当時のアミューズの社長である大里洋吉氏に見出されなければ、コミックバンドのヴォーカルで終わっていたかもしれない。


僕は高校2年生のとき、放送部に入部した。
学園祭で見かけた放送部の女の子が可愛かったからだ。
そして1979年、宮崎県小林市の本屋で買った「群像」に掲載された新人賞受賞作「風の歌を聴け」(村上春樹)の中で「彼女はよく訓練された犬のようにレコードを抱えて帰ってきた。」という一文を読んでレコード業界に入った。そして映画のソフトを販売するようになり、映画紹介のイベントを始めた。


僕にとって優秀なコーチとは、言うまでもなく良質の映画であり、その映画はを美味くしてくれるフォースである。


©Photo By subactive_photo



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この男について

マンハッタン坂本
マンハッタン坂本
初老の映画コメンテーター、54歳、独身。映画と酒を愛しすぎ、気がつけばこんな年齢。子供がいればもう成人しているだろうか、部下も息子といっても差し支えない年代に。されど人生に悔いなし!それは多くの感動と出会いに満ちあふれていたから。そんなヒトリライフを堪能する男のこだわり映画とは。
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