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20年以上映画の仕事を続ける企画・映画評論家のこだわる「男の映画」とは。そして彼が「男」にこだわる理由…そして映画と酒に濡れた彼の人生とは。この男のRSS

俺がこんなに強いのも、当たり前田のクラッカー!


団塊の世代、あるいはその後のシラケ世代と呼ばれた僕ら五十代が、子供の頃好きだった「てなもんや三度笠」のあんかけの時次郎が死んだ。
確かその人気キャラクターを演じたコメディアンは、1996年の映画「必殺!主水死す」で、中村主水として死んだはずだが、2007年のTVスペシャルで生き返った。

こんばんは、マンハッタン坂本です。



藤山寛美さんが亡くなったとき、死んだら終いですわ、とある漫才師がコメントしたという。ボケるわけではないが、かつて藤山寛美や財津一郎らと共に上方お笑い界をリードした藤田まことさんが本当に亡くなったらしい。

僕らの世代にとって、藤田まことはコメディアンだった。だが「ダイハード」でブレイクするまで「こちらブルームーン探偵社」のお調子者だったブルース・ウィリスのように、重厚さと軽妙さを合わせ持った存在感のある俳優に変身できたのは、深作欣二監督の後押しのお陰だと思う。

仕事人大集合

工藤栄一 監督
1982年10月1日放送
朝日放送(ABCテレビ)

数ある必殺シリーズの中で人気があるのは、当然のことながら中村主水が登場するシリーズで、中でも10周年記念スペシャル「仕事人大集合」が豪華だ。それまで名立たる仕事人を演じた、山田五十鈴、フランキー堺、中条きよし、三田村邦彦、森田健作、沖雅也、そして緒形拳が結集し、オランダ商人が雇った短銃を持った外人殺し屋軍団と戦い、仕事人も数人失いながら、栄転先の長崎で主水が黒幕にとどめを刺す。落ちは、すでに赴任していた仲村主水(西郷輝彦)に江戸へ追い返される。

映画版は深作欣二が監督した「必殺4 恨みはらします」が一番のアクション大作だ。

それもそのはず、悪徳奉行に真田広之、仕事人の一人に千葉真一が出演して派手な立回りがある上、歌舞伎役者然とした旗本愚連隊や色とりどりの小姓姿の取り巻きが一層派手さを助長している。剣戦では、達人の右京亮(真田広之)に「やるじゃん」なんて言わせるくらい、主水も善戦する。

「必殺!主水死す」では、葛飾北斎殺害を機に武家の跡目争いに巻き込まれる中村主水だが、結局昔の仕事人仲間の女とその恋敵の仕事人との三角関係にもつれ込む。飾り職人の秀(三田村邦彦)も三味線屋の勇次(中条きよし)も手が出せないまま、主水は女に後ろから刺されて命を落とす。呆気ない最期であった。


やはり忘れて欲しくないのは、最後の主演映画「明日への遺言」である。


明日への遺言

小泉堯史 監督
2008年3月公開
原作:大岡昇平「ながい旅」

藤田まことさん自身、実の兄を戦地で失っており、戦争の真実を伝える義務を感じていたらしい。この作品は、第二次世界大戦後、B級戦犯として米軍の裁判にかけられた東海軍司令官・岡田資(たすく)中将の実話に基づいている。

名古屋空襲を実行した米軍搭乗員の斬首処刑に関する戦犯裁判で、米軍検察官の追求に対し、岡田中将(藤田まこと)は、弁護人の協力の下、焼夷弾による市街地無差別爆撃は国際法違反だということを訴える。

「報復ではありません。処罰であります」


岡田中将は、そう繰り返し主張し、あくまで略式手続きで処刑を命令したのは自分であり、部下が責任を負う必要がないことを強調する。その態度は毅然としており、法廷内のすべての人々を魅了する。最終弁論は、寛大なる法廷の処置に対する感謝の意を表した誠実で堂々たるものであった。その甲斐あって、岡田中将以外の19名の部下は死刑を免れる。絞首刑台に向かう後姿がすがすがしく見えた。


今思えば、売れないコメディアンだった藤田まことさんが到達した、
強靭なキャラクターだったにちがいない。


▼明日への遺言 予告編



繰り返すけれど、人間は死んだらお終いである。



それはまぎれもない事実だ。ただ、俳優という稼業のいいところは、本人が死んでいなくなっても、演じたキャラクターが後世まで生き残ることだ。あんかけの時次郎も中村主水も「剣客商売」の秋山小兵衛も「はぐれ刑事純情派」の安浦刑事も。そして実在の岡田資中将も。



藤田まことさんのご冥福をお祈りします。

後世にはキャラクターだけではない。美味い酒も確実に生き残る。


©Photo By Richard, enjoy my life!



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マンハッタン坂本
マンハッタン坂本
初老の映画コメンテーター、54歳、独身。映画と酒を愛しすぎ、気がつけばこんな年齢。子供がいればもう成人しているだろうか、部下も息子といっても差し支えない年代に。されど人生に悔いなし!それは多くの感動と出会いに満ちあふれていたから。そんなヒトリライフを堪能する男のこだわり映画とは。
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